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ダイビングコンピューター。その本来の使用目的は、潜水障害の予防です。
実際に初心者ダイバーの使用状況を見てみると、本来の使用目的よりも、ログブックをつけるためのログデータ取得のために使用していることが多いです。
個人的には、ダイビングで海に潜ることに慣れるのが最優先の初心者ダイバーに限っては、最初はそれで良いと思っています。
ただ、そのログデータを呼び出す機能の操作のときに『ボタン操作が簡単なダイビングコンピューター』と『ボタン操作が難しいダイビングコンピューター』があります。
- 『ボタン操作が簡単なダイビングコンピューター』を使用している初心者ダイバーは、ダイビング中もダイビング終了後もストレスなく快適に使用できて楽しそうにしています。
- 『ボタン操作が難しいダイビングコンピューター』を使用している初心者ダイバーは、ダイビング中もダイビング終了後も操作がよくわからず、いつも説明書とにらめっこしていて全然楽しそうにしていません。
すでにライセンスを取得している方は、潜水障害に関しては、講習のレクチャーやテストでしっかり理解しているはずです。ライセンスを取得していないダイビング未経験者の方は、ひとまず潜水障害については、考えないようにしましょう。
今回は、ダイビング歴33年のインストラクターが、初心者のダイバーの皆さんに
- 『単純な機能で』『簡単に使いこなせる』『ボタンの少ないダイビングコンピューター』
- 『多機能で』『簡単に使いこなせない』『ボタンの多いダイビングコンピューター』
両者の違いを解説します。
結論からお伝えすると、
初心者のダイバーにオススメする『単純な機能で』『簡単に使いこなせる』『ボタンの少ない』ダイビングコンピューターが、結局プロのインストラクターやベテランダイバーにとっても、一番使いやすい良いダイビングコンピューターということになります。
プロの我々も『多機能で』『簡単に使いこなせない』『ボタンの多い』ダイビングコンピューターは、使用する際に使いにくく、多すぎる機能に必要性を感じません。
この記事を読むと、
最初の一台で、どんなタイプのダイビングコンピューターをそろえれば良いか
ダイビングコンピューター使用時の注意点
が、わかります。
多機能なダイビングコンピューターは、1台目のダイコダイビングコンピューターを完全に使いこなしてからがオススメです。『どうしても使ってみたい』と思った時に限り、検討してください。
【初心者向けダイビング器材解説】安全潜水の基本3点もインストラクターが解説!
自分のダイビングコンピューターを持っているのに、操作や画面の見方がわからず、全部ガイドさんに丸投げしている初心者ダイバーも見かけます。基本的には、安全管理は各自がするもの。使いやすいダイビングコンピューターで、安全に楽しくダイビングができるようにしていこう!
初心者ダイバーにオススメのダイビングコンピューター
大型大画面のリストベルトタイプのダイビングコンピューター
本体サイズが大きい
リストベルトを腕に巻いて使用するダイビングコンピューターの特性上、ウエットスーツの着脱の際に必ず腕から外します。その時に本体サイズが大きいほうが、より存在感があるので、置き忘れてなくなってしまうリスクが少なくなります。
存在感が大きいことは、正義です。
画面が大きい
『視力が弱い人』『老眼の人』『緊張している人』など全ての人に画面の数字データが見やすい。
大きい画面は、正義です。
ボタンが少ない
1番ボタンが少ない機種だとボタンは1つだけ。ボタン操作がシンプルでわかりやすく、一度覚えてしまば基本操作だけであれば、説明書はほぼ不要。
少ないボタンは、正義です。
ダイコン画面表示の見方『ダイビングログデータ(潜水記録データ)画面』
伊豆高原ダイビングブログがオススメする。マレス社製のダイビングコンピューター『puck PRO』(パックプロ)の場合
初心者ダイバーにオススメしないダイビングコンピューター
小型リストウォッチタイプのダイビングコンピューター
本体サイズが小さい
リストベルトを腕に巻いて使用するダイビングコンピューターの特性上、ウエットスーツやドライスーツの着脱の際に必ず腕から外します。その時に本体が小さいと、存在感がないので、置き忘れてなくなってしまうリスクが多くなります。
画面が小さい
『視力が弱い人』『老眼の人』『緊張している人』など、全ての人が画面の数字データが見にくくストレスを感じる。
ボタンが多い
だいたいの機種で、上下左右に4つのボタンが配置されています。4つのボタンに『Aボタン』『Bボタン』『Cボタン』『Dボタン』などと名称が割り振られている。4つあるうちの決められた2つのボタンを同時に押して各機能呼び出すことが多く、操作がわかりにくい。機械いじりが相当好きな人以外は、取り扱い説明書なしでの操作はムリ。
プロの我々インストラクターでも、取扱説明書なしでは、全ての機能を使いこなすことができません。
残圧残量電波通信型小型リストウォッチタイプのダイビングコンピューター
本体は、小型リストウォッチタイプのダイビングコンピューターと全く同じ。
- レギュレーターの1stステージに圧力センサーを取りつけ、電波で残圧をダイビングコンピューター本体に飛ばして表示する。
- 非常に便利なので、勘違いして1stステージに高圧ホースで繋がっているアナログの残圧計が必要ないと思いこんでしまうダイバーが多いが、そうではないので注意が必要。
- バッテリー切れを起こしてしまうと、残圧をダイビングコンピューターに表示することができなくなる。
- 手元のダイビングコンピューターの画面で残圧が確認できるのは便利だが、アナログの残圧計がいらなくなるわけではない。
- 通常のアナログの残圧計を外してしまうと、バッテリー切れを起こしてしまったときに危険。
- 残圧残量電波通信型小型リストウォッチタイプのダイビングコンピューターを使用していても、通常のアナログの残圧計を使用しないといけない。
コンパス機能付き小型リストウォッチタイプのダイビングコンピューター
本体は、小型リストウォッチタイプのダイビングコンピューターと全く同じ。
コンパス機能
- 残圧計のゲージについているアナログのコンパスと違い『ベゼル』『マーカー』『ラバーライン』など、コンパスナビゲーションに必要な機能はついていない。
- 単純に『東西南北の方位を知ることはできる』が、ステップアップでアドバンス講習の際に受講する、本各的なコンパスナビゲーションには使えない。
- ダイビングコンピューターに内臓されたコンパス機能は、ほぼおまけ程度の機能しかない。
※伊豆高原ダイビングブログでは、多機能でボタンの多い各小型リストウオッチタイプのダイビングコンピューターはオススメしていません。その為あえて画像は用意していません。
潜水使用時&潜水後のダイビングコンピューターの注意点
潜水使用時の注意点
- 無限初潜水限界時間の範囲内ではなく、さらにもっと短い時間で窒素の溶け込み量を抑えたダイビングを心がける。
- 窒素のとけこみ量は『体格』『体質』『性別』などで個人差がある。
- ダイビングコンピューターは、個人差の設定対応の機能はないので、あくまでも平均値しか表示されない
- ダイビングコンピューターが表示する無限圧潜水限界時間への過信は禁物。
- より安全にダイビングを終了できるように、最低3〜5mの水深で、最低3〜5分の安全停止を行う。
- エアに余裕がある時は、もっと長い時間安全停止を行なったほうがより安心。
- ダイビングコンピューターが表示する無限圧潜水限界時間ギリギリではなく、かなり余裕を持った『ダイビングの計画立案』と『安全潜水の実行』が必要。
ナイトロックスシリンダー使用時の注意点
ナイトロックスシリンダー用の酸素濃度設定機能は使用しない
理由
- 窒素濃度を減らし、酸素濃度を増やして、より安全性を高めるために使用することがあるナイトロックスシリンダー。
- ダイビングコンピューターに備わっているナイトロックスシリンダー使用時用の酸素濃度設定機能を使用して、ナイトロックスシリンダーの酸素濃度に合わせてしまうと、無限圧潜水限界時間が長くなる分ダイビングの潜水時間を伸ばしてしまうダイバーが多い。
- 潜水時のリスク軽減が目的で使用するナイトロックスシリンダーだが、無限圧限界時間ギリギリまで潜水してしまうと通常使用の空気のシリンダーで潜ることと何もかわらなくなってしまう。
- 現在2023年時点では『安全マージンをより多くとるために』『ダイビングコンピューターの酸素濃度の設定変更は行わず』『あえて通常の空気のシリンダーの設定のまま潜ること』が推奨されている。
潜水終了後のダイビングコンピューター使用の注意点
ウエットスーツやドライスーツの着脱の際に、置き忘れてなくなってしまうことが多い。ウエットスーツ、ドライスーツを着脱したらすぐに腕に巻くように心がけること。
買ったばかりのダイビングコンピューターを、デビューさせたその日になくしちゃうダイバーもいる。大切なダイビングコンピューターをなくさないように、本当に気をつけてね!
まとめ
今回は、
- 初心者ダイバーにオススメのダイビングコンピューター
- 初心者ダイバーにオススメしないダイビングコンピューター
- ダイビングコンピューター使用時の注意点
について解説しました。
ダイビングコンピューターを揃えたばかりの頃は『表示画面の数字の意味が分からなかったり』『ボタンの操作方法がわからなかったり』使いこなすのが難しく感じるダイビングコンピューター。
使いやすいダイビングコンピューターを使用していれば、何度も潜っているうちに、『画面に表示されている数字の意味も』『ボタンの操作方法も』自然にわかってきます。
①ダイビングログデータ呼び出しのための、ボタンの操作方法を覚える。
②水中で画面表示されている数字データの意味を理解する。
③無限圧限界時間の表示を見ながら安全マージンをしっかり確保して、余裕とゆとりのある楽しいダイビングを、自分で実行できるようになる。
この順番で、ご自身のダイビングコンピューターを使いこなしていってください。
ダイビングコンピューター購入後、月に一度のダイビングで慣らしていけば、1年くらいで誰でも簡単にダイビングコンピューターを使いこなせるようになっているはずです!
趣味のダイビングを楽しく行いながら、『ダイビング』と『ダイビングコンピューター』両方に慣れていこうね!